<男子>オーストラリア代表を徹底分析! Vol.1 サマリー編

ちょうど一年後に東京オリンピックが開催されます。
ホッケー日本代表の対戦相手がどのようなチームなのかご存知でしょうか?
おそらく、ホッケー愛好者の中でも知らない方がほとんどだと思います。
対戦相手のことを知っていれば、オリンピックのホッケー観戦を2倍、3倍、いや10倍と楽しめるはずです。
そういう想いから、「オリンピック出場チームを徹底分析!!」というテーマで、過去の試合を独自に分析し、日本の対戦相手を紹介していく企画を始めました。
当記事をきっかけにして、ホッケーに関して少しでも興味を持っていただき、来年のオリンピックが待ち遠しくなっていただければ幸いです。
今回の分析対象は、世界ランキング2位で日本の初戦の相手である「男子オーストラリア代表」。
4つの記事に分けて、チーム紹介や戦術分析、ピックアッププレイヤーなど幅広い内容を紹介していきます。

オーストラリアを徹底分析! 記事一覧

今回はサマリー編ということで、強豪オーストラリアのホッケーについて分析し、日本がどのように戦えばよいかについて、ギュッとコンパクトにまとめてご紹介していきます。

オーストラリア代表ってどんなチーム?

東京オリンピック2020のホッケー開幕戦として、大井ホッケー場で日本と対戦する予定のオーストラリア。
男子ホッケーチームの愛称は”Kookaburras”(ワライカワセミという鳥)で、W杯は2010年・2014年優勝(2018年は3位)、オリンピックは1992~2012年の6大会連続でメダル獲得(リオ五輪は6位)している、現在世界ランキング2位のホッケー大国。
オーストラリアは、国際ホッケー連盟(FIH)主催の、世界トップランク8チームが集うFIHプロリーグにおいて2019年チャンピオン(初代)に輝いている。
FIHプロリーグは、半年かけてホーム&アウェイの総当たり戦を行い、勝ち点の上位4チームが決勝トーナメントへ進出できる。2019年大会は上位4チームに東京オリンピックの最終予選大会への出場権が与えられる。オーストラリアは10勝2敗2SO負(引き分けの場合、SOで勝敗を決定)=勝ち点32 の首位で決勝トーナメントへ進出。準決勝で英国を6-1で破り、決勝で世界ランク1位のベルギーを3-2で破り、FIHプロリーグ初代チャンピオンとなる。

オーストラリア代表の特徴

昨シーズンで一番熱い試合、2019年FIHプロリーグ決勝戦のオーストラリア対ベルギー戦を元に、オーストラリアのホッケーを独自に分析しました。

試合の動画はこちら!

2019/6/30 FIH Pro League オーストラリア対ベルギー

https://fih.live/view/event/5683

分析の結果、以下の3つの特徴があることがわかりました。

特徴① お手本のような中央を経由したサイド攻撃

  • 自陣はアウトレットを多用するが、そこから中央を経由してサイドへボールを散らし、サークル侵入を狙っている。外→中→外という攻撃はホッケーのお手本のようである。
  • 強引にでも右サイドから攻撃するように見受けられ、ホッケーのセオリー(※)通りの攻撃である。
    ※ホッケーはスティックが右利き用しかなく、右サイドでボールを持つのが有利とされている。
プレスを巧みにかわす華麗なアウトレット (0:29:32~0:29:48)

自陣でのアウトレットはフルバック2枚、低めに位置しているMF2枚を中心に組み立て、そこからセンターライン付近にいるサイドハーフへとボールを展開している。
MFとフルバックの3人で三角形を形成して数的優位を作り、テンポの早いパスでベルギーのプレッシャーを回避している。一度、逆方向にボールを振ったことで相手のプレスが崩れており、それを見逃さず、再び同じMFにボールが渡ることで相手のプレスを打開することに成功している。
そこから、テンポよくサイドへボールを展開することで、相手のプレッシャーが少ないサイドから安全に相手陣地へとボールを運んでいる。
他のシーンでも、オーストラリアはフルバックから逆サイドMFへのパスを多用しており、プレスの的を絞らせない効果的な配球をしている。

特徴② 堅守速攻

  • 1点目、2点目ともに堅守からの速攻による得点であった。
  • 組織的に守ることで相手をサークルに寄せ付けていなかった。
電光石火のショートカウンター (0:35:45〜0:36:02)

このシーンのオーストラリアのプレスは、FWがセンターラインまで引いて低く守っている。ちょうど、ベルギーのセンターハーフに対して、オーストラリアのFW2人とMF1人が3人組で囲むような形となっている。
その中央に空いたポケットでベルギーのMFがパスを受けると、その背後から鷲が獲物を獲るような猛スピードでオーストラリアのMFがボールを奪う。
ショートカウンター発動と同時にオーストラリアのFW3人が一斉に前へ駆け上がり、ベルギーのサイドハーフが外に開いていたため、4対3の数的優位となっている。
フリーとなったFWがボールを受け取り、すぐにサークルイン。トップスピードのままシュートを放つが、一度はベルギーGKに阻まれる。こぼれたボールを逆サイドにいたFWが後ろに下がりながらの難しい態勢で豪快にヒットシュートを放ち、先制点を決める。
このシーンでは、ボールを奪ってからシュートまで5秒しかかかっておらず、オーストラリアの速攻が脅威であることを印象づけた。

特徴③ ゴールキーバーの優れたセービング

  • 2点差の状態で点数差を詰められたくない場面で、相手との1対1の場面でスーパーセーブを魅せて、ゴールを死守した。
  • 世界ランキング1位と2位という実力が拮抗する相手同士のためゴールキーバーのパフォーマンスが勝敗に大きく影響した。
驚異的な反射神経によるGKのスーパーセーブ (0:54:43~0:54:51)

このシーンのオーストラリアGKのお手本のような動きとスーパーセーブに注目してほしい。
まずは、どのようなシュートにも対応できるように手を胸の高さまでハンズアップ。
ボールがルーズボールになりベルギーの選手がダイレクトシュートを放つわずかな瞬間に状況を判断し、一歩前に出て的確に間合いを詰めシュートコースを消している。さらに距離の近いシュートを抜群の反射神経により右手一本で枠の外にはじき出した。
基本姿勢、適切なポジション、シュートコースの限定、抜群の反射神経、これらをコンマ何秒の世界でいとも簡単に行うオーストラリアのGKはすごい!

日本はどのように戦うべきか

私たちがこの企画を始めた当初、オーストラリア代表は大きな体格を活かし、力で相手を捻じ伏せるチームだ、という印象を持っていました。
しかし、分析を進めていくとその印象は大きく変わりました。高度なテクニックとスピードを兼ね備え、組織的かつ戦術的に戦う、当初のイメージとは真逆の戦い方だったのです。

そんな強豪オーストラリアを相手に、日本はどのように戦うべきなのでしょうか。
そのヒントを私たちなりに考えてみました。

①中央を厚く守る、キーマンを抑える

分析結果から、オーストラリアは中央を活用しながら、サイド攻撃を中心に試合を組み立てていることが明らかとなった。
中央を経由することで、サイドのスペースをつくり、サイドハーフがそのスペースを活かして、相手陣地深くまで入り込んでいる。
サイドを抑えるのではなく、まずはこの中央を経由させないように抑えることが重要である。
事実、過去の試合でベルギーがそのように守った際に、オーストラリアの攻撃の脅威を大きく激減させることに成功している。
日本は、オーストラリア中盤にボールが渡らないように中央を厚く守りたい。もしパスが通ったとしてもFWのバックディフェンス、MFが前を向かせないように積極的にプレッシャーをかけることで、相手に余裕を与えないことが必要となるだろう。
特に、オーストラリアのキーマンであるMFザウレスキにパスが渡った時には要注意である。

②中央を使いながらサイドから攻撃

高い個人技を有する世界ランキング1位のベルギーをもってしても、オーストラリアの堅守をこじ開けることは出来なかった。
ボールロストを恐れるあまり、サイド一辺倒になったり、ロングボールを多用するといった弱者の戦術を取りたくなるような相手である。
しかし、私たちはオリンピックの場において消極的な日本を観たくない。高い理想かもしれないが、是非とも正面からぶつかって戦ってほしい。
ベルギー戦を見る限り、中央を手厚く守る代わりにオーストラリアのサイドエリアは手薄のように見える。
愚直にサイド攻撃をしても、サイドを固められて終わってしまう。まずは中央から攻撃する姿勢を作り、サイドにスペースを生み出し、中央からサイドへ攻撃を展開することが理想である。
ただ、そのためには中盤が怖がらず中央でボールを受け、前を向いて鋭いパスを狙う必要があり、高い技術、絶対的な自信が不可欠である。
オリンピックまで1年の猶予期間がある。この期間を活かし、日本のミッドフィルダーがさらなる成長してくれることを期待したい。

③速攻を意識したサイドハーフの戻り

オーストラリアの速攻は、完成度が高く、そして速い。
安易な中盤へのパスが、危機的状況を引き起こす可能性がある。
そのシーンを想定した準備をしておいて損はない。
具体的には、前述「特徴② 堅守速攻」で紹介しているショートカウンターのシーンを見てほしい。この時、ベルギーのサイドハーフがサイドに広く開いていたことで、オーストラリアにボールを奪われてから一瞬反応が遅れていることがわかる。結果、ベルギーの数的不利が生じ、失点に繋がったと考えている。
常に、カウンターリスクを意識し、奪われた際にすぐ戻るような態勢を取っておくことが重要ではないだろうか。
例えば、逆サイドにボールがあるときは、反対側のサイドハーフが中央に寄っておくような細やかなフォローも、カウンターのリスクヘッジには有効と考えている。

最後に

最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
オーストラリア代表のホッケーについて理解は深まったでしょうか。
オリンピックまで残り1年。その間に対戦国ってどんなチームかな、日本はどう戦うのかなと、思いをめぐらすことも楽しいのではないでしょうか。
今回、私たちは過去の試合から1試合を抽出し、ゲーム分析によってその特徴を導き出しました。
しかしながら、戦術は対戦相手に合わせて変えるものであり、日本とオーストラリアが戦うときに、当記事の内容がそのまま当てはまるとは限りません。その点はご了承いただければと思います。

最後に、このような企画を進めるにあたって、メトロ東京ホッケー&アスリートクラブ以外の方々にも多大な協力をいただきました。この場を借りて感謝を申し上げます。
引き続き、オリンピックまでの残り1年かけて、日本の対戦国を知るキッカケとなる情報を提供していきます。

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