<女子>アルゼンチン代表を徹底分析! Vol.2 スタッツ編 その1:ゲーム展開

前回(Vol.1 サマリー編)にて語った女子アルゼンチン代表の特徴について、ゲーム展開から読み解いていきます。

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この試合を見て欲しい!!

2020年FIHプロリーグ女子のアルゼンチン対オランダを元に、アルゼンチンのホッケーを独自に分析しました。この試合がどのような内容だったのかを振り返ってみましょう。

2020年2月15日(土)、アルゼンチンのブエノスアイレスにて、
世界チャンピオンである女子オランダ代表と世界第3位の女子アルゼンチン代表の試合が行われ、アルゼンチンがオランダにFIHプロリーグで初めての黒星をつけ、2-0で勝利した。

”Las leonas(雌ライオン、アルゼンチン女子の愛称)”は、ホームの観客の声援を受け、素晴らしい守備的なパフォーマンスを見せた。世界No.1のオランダを完封しながら第3Qと第4Qに得点を重ねて完勝した。

アルゼンチンは第3Qにペナルティーコーナーを獲得すると、#3アグスティナ・ゴルゼラニー が無慈悲に右上隅にドラッグフリックシュートを突き刺し、先制した。さらに、第4Qには#12デルフィナ・メリノ が、アルゼンチン代表の見事な中盤からのパスワークを、同点に追いつこうとゴールキーパーをフィールドプレーヤーに変えて無人となっていたオランダゴールに決め切り、アルゼンチンの勝利を確信づけた。

この試合においてドリブル突破でオランダのディフェンスを翻弄し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝い#19アグスティナ・アルベルタリオ は、試合後のインタビューで「とてもタフなゲームだったが上手くプレーできた。とてもハッピーです」と語った。

試合の動画はこちら!

2020.2.16 FIH Pro League アルゼンチン対オランダ

https://fih.live/

【アクセス方法】HOME > FIH Pro League Women > 2020.2.16 Argentina vs Netherlands

スタッツデータを読み解く

スタッツ

サークル侵入数、ペナルティコーナーシュート数、フィールドシュート数を比較するとオランダのほうが多く、アルゼンチンが攻めきれていない様子がうかがえる。
数字上は負けてもおかしくない試合だが、結果としてアルゼンチンが2-0で勝利した。

ペネトレーショングラフ

この表は、1試合において相手ゴールにどれだけ近づけたかを表している。
これを見る限りは、第1Q、第4Qはオランダが優勢であり、第2Q、第3Qはアルゼンチンが優勢であったことが伺える。
スタッツデータと合わせて見ると、アルゼンチンは相手陣地に深く侵入し、ボール保持時間(ポゼッション)が長いにも関わらず、サークル侵入、シュート数が少ない。
なぜ、サークル侵入数、シュート数が少ないのか。
そこにアルゼンチンの特徴をつかむヒントがあるようだ。

得失点シーンを分析してみた

1-0(1得点目)巧みなドリブルからPC獲得、豪快な弾丸シュート

3Q 10:25 PC ARG #3アグスティナ・ゴルゼラニー

右サイドフリーヒットでのプレー再開、正確で素早いアウトレットからサークル左側より巧みなドリブルで相手を翻弄しながらサークルインし、ペナルティコーナーを獲得した。
オランダの守備は1番機はシューター、2,3番機はバリエーションの警戒、4番機とGKはゴールを守る布陣、アルゼンチンの攻撃はダブルストッパーでどちらから打つかわからないようにしている。
パッサーが勢いをつけて左側ストッパーへ正確にパスを送り、#3アグスティナ・ゴルゼラニー が豪快なフリックシュートを放つ。
放たれたシュートは弾丸のように飛んでいき、4番機の必死の守備も空しく、ゴール右上に豪快に突き刺さる。
日本人ではまねできないような海外選手らしい豪快なゴールだった。

2-0(2得点目) テンポよくパスを繋ぎ、無人のゴールに決める

4Q 3:15 FG #12デルフィナ・メリノ

後半終了間近となり、1点差を追うオランダがパワープレーを仕掛け、11名のフィールドプレイヤーとなっている。
このタイミングでアルゼンチンが自陣サークル前から攻撃を開始。オランダが前線からプレッシャーをかけるが、アルゼンチンはスペースを使いながらテンポよくボールを回す。
2回のダイレクトパスであっという間にオランダのサークル内に侵入。あとはゴールキーパーのいないゴールへリバースシュートを確実に決める。
パワープレイ中の相手に対してお手本のようなキレイなゴールシーンだった。

まとめ

今回はゲーム展開を中心に分析しました。
これまでのアルゼンチン対オランダとの対戦成績(2013年以降)は、11戦中3勝8敗とアルゼンチンが大きく負け越しています。
今回の試合のスタッツデータから分かる通り、サークル侵入数とシュート数はオランダのほうが圧倒的に多く、数字上からはアルゼンチンが負けてもおかしくない試合でした。

しかし、結果は幾度のピンチを耐え、少ないチャンスを確実に決めたアルゼンチンが完封勝利しました。
シュート数などの数字上からはわからない、アルゼンチンの試合巧者として一面が際立った試合だったように思います。

女子アルゼンチン代表の戦術とは、具体的にどういうものなのでしょうか。
次回は、ゲーム分析データからアルゼンチンの勝因について読み解いていきたいと思います。

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